日本保健物理学会

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会長挨拶

 

 

  一般社団法人日本保健物理学会

会長 杉浦 紳之

今期(2023.7-2025.6)、日本保健物理学会の会長に就任いたしました。歴史ある本学会の会長を務めることに誇りと同時に責任の重さを感じています。佐々木道也副会長をはじめ理事会の皆様、事務局のご協力のもと、会員の皆様のご支援を頂きながら、覚悟をもって舵取り役を果たしていく所存です。

 

就任挨拶に先立ち、吉田浩子前会長をはじめとした前期の理事会メンバーの方々にまず感謝申し上げたいと思います。コロナ禍の真っ只中にあり、対面での理事会開催は2年間の任期中1回だけという状況下であってもしっかりと連携を取り、研究発表会や各種委員会活動をはじめ学会運営を確実に展開されたご苦労は計り知れないものであったと考えます。その活動の重要なものの一つに中長期計画策定があり、中長期計画継承という形で今期の理事会に託されました。会員数の減少、理事選挙における定員割れなどの課題があり次世代への継承に不安があるものの、一朝一夕には解決が難しいため、中長期の視点に立脚した将来計画に基づき学会活動の活性化を図ろうとするものです。

 

今期、活動を進めるにあたって、漠然としてはいますが、大切にしたい点をいくつか述べたいと思います。

 

第一は、会員各位が活動を行う場としての学会です。学術団体として、研究成果発表の場である学会誌や研究発表会は一丁目一番地でしょう。保健物理誌に加え、J. Radiat. Prot. Res.も選択肢として幅が広がりました。研究活動にはある種孤独な側面がありますが、熱い議論を交わし切磋琢磨する仲間も必要です。研究発表会や企画行事での仲間との出会いや交流を機に、新たな活動のアイデアやエネルギーが生まれる場となればと思います。

保健物理は学際的な学問分野と言われます。例えば、10章からなる保健物理の教科書があれば、著者によって3~4章はずいぶんと異なった内容になるのではないでしょうか。おそらく保健物理が実学として成り立つ(言い換えれば、現在ICRPで議論されているFit for Purpose)ためには領域の裾野を広げる必要があり、多くの新しい学問領域の方が仲間に加わり学問体系として整理されていく時期になっていると考えています。

そういった会員のアイデアやエネルギーが具体化される場として、専門研究会ならびに常設あるいは臨時委員会が活用されていくことを期待しています。

 

次に、一般社団法人としての学会です。法人格を持ち社会に認知された専門家集団の学会としていくつかの役割期待があります。

国際的な活動としては、国際放射線防護学会(IRPA)の加盟学会としての活動をはじめ、アジア・オセアニア放射線防護協議会(AOARP)、日中韓3か国連携プログラムなどがあり、2023年11月に東京・台場で開催されるICRP2023やIRPA YGNなど、日本が果たしている役割は今や主導的ともなったと聞いています。自分の若い頃は海外はかなり遠い存在であったのですが、最近は確実に身近なものとなっています。国際感覚を身に着けた優秀な人材が適材適所で活躍頂けるよう学会としてサポートできればと考えています。

情報発信という観点も重要です。東京電力福島第一原子力発電所事故後の活動として暮らしの放射線Q&Aは評価が高かった活動のひとつです。関連分野の研究者や一般の方が専門家である保健物理学会の見解はどうであるかを聞きたいと思う機会はこれからも多いと思います。個人会員の総体としての学会という側面がありますので、コントロバーシャルな課題について確たる結論を学会の総意として明確に示すことは難しいかもしれませんが、期待される役割についての責任は果たしていく必要があると考えています。また、会員の方に役立つ最新の動向・情報を適時に流してご活用いただくことはもちろんですし、理事会・常設委員会をはじめ学会の活動について透明性の観点からも時機を逸することなく発信したいと考えています。

 

要すれば、会員の方々の活動の場を整備し、学会としての社会的役割を着実に果たすと言えましょうか。今期理事会にも、前期理事会に頂きましたご支援を変わらず頂きますようお願いし、就任のあいさつといたします。

2023年7月

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