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放射性廃棄物処分に係わる生活圏被ばく評価に用いられるパラメータ調査専門研究会

 

更新 令和3年3月3日

 

1.専門研究会の名称
「放射性廃棄物処分に係わる生活圏被ばく評価に用いられるパラメータ調査専門研究会」

 

2.提案者名と連絡先
提案者名:髙橋 知之(京都大学複合原子力科学研究所) tomoyuki @ rri.kyoto-u.ac.jp
連絡先住所:〒590-0494 大阪府泉南郡熊取町朝代西2
 
3.提案理由
 放射性廃棄物処分に係わる生活圏評価における被ばく評価では、多くの環境パラメータが用いられる。これらのパラメータの入力値は評価の目的等に応じ、その不確実性を考慮して適切に設定する必要があるが、元素の種類によって値が異なるパラメータ(元素依存パラメータ)は、特に環境条件によって大きく変動し、かつ、被ばく評価結果への影響が比較的大きい可能性がある。よって、元素依存パラメータは、評価対象地域の環境条件を十分に考慮した上で、適切なパラメータ値を設定することが必要である。
 元素依存パラメータとして、土壌中における固液分配係数、土壌からの農作物への移行係数、飼料から畜産物への移行係数、水産物への濃縮係数があげられる。これらのパラメータ値の設定においては、一般に、国際機関によるテクニカルレポートや様々な学術研究の成果等が利用可能である。
 しかしながら、数値の根拠として引用されているこれら文献においては、数値の設定根拠が記載されていないことがある。また、特に年代的にも古い引用文献や、他の学術研究の成果を引用している場合、データの測定条件等が不明確であることが多い。一方で、近年の研究により、日本を始め多くの国や地域で、環境パラメータの取得が進められている。元素依存パラメータは、評価対象地域の環境条件に大きく影響されるため、環境条件とパラメータ値の関連性に着目することにより、より妥当性の高い被ばく評価が可能となる。

 そこで本研究会では、以下を目的とした調査を提案する。

 

①放射性廃棄物処分における生活圏評価で使用するパラメータについて、これまで使用されてきたパラメータ値の出典の追跡調査を行ってデータの根拠を確認すること。

 

②これらのパラメータについて、近年、日本や多くの国や地域の研究機関で取得されてきた新しいデータを収集すること。

 

③これらのパラメータ値の不確実性および変動要因について検討すること。

 

④今後の環境パラメータ研究に関して議論を深め、より妥当性の高い生活圏被ばく評価を可能とすること。

 

  特定サイトにおける被ばく評価を行う場合、当該地域に居住する人々の被ばく線量の評価を確実に実施し、その安全を担保することが必要である。したがって、現時点における評価パラメータ値の根拠を明確にし、今後のパラメータ研究に関する議論を深めることで、より確実な安全性を示すことができるとともに、公衆の理解にも貢献できると考えられる。

 

4.計画の概要
 本計画では、提案理由に示した環境パラメータの透明性確保を目標として、出典追跡調査・変動要因分析を行う。本研究会での検討計画を以下に示す。

 

①平成31年度(令和元年度)
 現在、わが国において代表的な放射性廃棄物処分等に係わる被ばく評価である、電気事業連合会・核燃料サイクル開発機構(現原子力機構)による「第2次TRU廃棄物処分研究開発取りまとめ」[[1]](以下、第2次TRUレポート)、及びより新しいデータが採用されている日本原子力学会の「浅地中処分の安全評価手法」[[2]]における、上記パラメータ(分配係数、移行係数、濃縮係数)について、その出典の追跡調査を行う。
 具体的な調査対象パラメータは、土壌の分配係数(農耕土壌、河川堆積層、沿岸海域堆積層)、農作物の移行係数(野菜、米、飼料)、畜産物の移行係数(牛肉、豚肉、鶏肉、牛乳、鶏卵)、水産物の濃縮係数(淡水魚類、淡水貝類、海水魚類、海水無脊椎動物、海藻)とする。なお、調査対象とする元素は、専門研究会において協議し決定する。


[[1]] 電気事業連合会・核燃料サイクル開発機構 (2005): TRU廃棄物処分技術検討書-第2次TRU廃棄物処分研究開発取りまとめ-, JNC TY1400 2005-013, FEPC TRU-TR2-2005-02, 556p.


[[2]] 日本原子力学会 (2014): 日本原子力学会標準 浅地中トレンチ処分の安全評価手法:2013, AWSJ-SC-F024:2013, 139p.

 

②令和2年度
 追跡調査完了後、国際的なテクニカルレポートや最新のパラメータを掲載している文献値との比較、わが国における測定データとの比較を行う。本計画を実施した結果として、追跡調査及び比較検討を行うことで、データが不足しているパラメータ(設定根拠が不明確なものも含む)が明示される。この結果を受け、出典の違いによるデータの差異が大きい元素・パラメータについては、その要因分析を行い、今後、どのような研究が必要か(アナログでの設定が必要、実験による測定を強化すべき、等)について委員会内で議論し、今後の研究テーマを提案することを目指す。

 なお、本研究会では、年4回程度の会合を開催する。
 また、本研究会での検討結果については、レビュー・レポートを査読付きの論文等として公表する。

 
5.研究会メンバー

  委員(主査)       高橋 知之          京都大学

  委員(幹事)       深谷 友紀子       日本エヌ・ユー・エス株式会社

  委員                   飯本 武志          東京大学

  委員                   宇仁 康雄          三菱重工業株式会社

  委員                   加藤 智子          日本原子力研究開発機構

  委員                   武田 聖司          日本原子力研究開発機構

  委員                   中居 邦浩          日揮株式会社

  委員                   中林 亮             電力中央研究所

 

6.設置予定期間
  平成31年4月~令和3年3月

資料

 

7.活動内容

  第6回会合 2021年2月17日(月) 13:00~14:30

    場所:WebExにて開催                  (資料)

  第5回会合 2020年10月26日(月) 13:00~15:00

    場所:WebExにて開催                  (資料)

  第4回会合 2020年7月16日(金) 13:00~14:25
    場所:WebExにて開催                  (資料)

  第3回会合 2020年2月21日(金) 14:00~16:00

    場所:東京大学 浅野キャンパス 工学部12号館2階222室  (資料)
  第2回会合  2019年10月10日(火) 13:00~15:00
    場所:東京大学 浅野キャンパス 工学部12号館2階222室  (資料)
  第1回会合  2019年6月11日(火) 13:00~15:00
    場所:東京大学 浅野キャンパス 工学部12号館2階222室  (資料)

以上

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