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お知らせ

「放射性廃棄物の管理・処分に係る人文・社会科学的視点からの考察に関する専門研究会」の設置について

2022年5月4日

日本保健物理学会

会員各位

 

企画委員会

 

 このたび、専門研究会運営細則(細則第C-1-1号)第2条第3項に基づき、令和4年度に新たに設置する「放射性廃棄物の管理・処分に係る人文・社会科学的視点からの考察に関する専門研究会」について通知するとともに、研究会員を募集いたします。

 研究会員として参加することを希望される学会員は、2022年5月31日までに、当該専門研究会提案者の齋藤龍郎氏(日本原子力研究開発機構)<saito.tatsuo@jaea.go.jp>まで、その旨ご連絡いただきますようお願いいたします。

 なお、同細則第3条第1項に基づき、研究会員は学会員である必要があり、原則として他の研究会員を兼ねることはできませんのでご注意ください。

 

1.専門研究会の名称

放射性廃棄物の管理・処分に係る人文・社会科学的視点からの考察に関する専門研究会

 

2.提案者

保田 浩志 氏 (広島大学)

麓  弘道 氏 (日本検査株式会社)

齋藤 龍郎 氏 (日本原子力研究開発機構)

 

3.提案理由

 2021年9月にウラン廃棄物の処分が法制化されたことにより、核燃料サイクル施設を含むすべての原子炉等規制法に基づく原子力施設からの廃棄物が、施行令31条等の条件を満たせば第2種廃棄物として埋設処分可能となり、今後社会的なステークホルダー間の議論に移ると考えられる。提案者らは、令和2~3年に、「人文・社会科学的視点から考察する自然起源放射性物質含有廃棄物の取扱い専門研究会」において、理工学的アプローチによるパラメータや数値による解説のみでは、必ずしも社会が廃棄物処分を受け入れることとはならないことを議論してきた。前専研では、被ばく線量という自然科学的な安全を示す指標のみでは解決できなかったウラン廃棄物について、倫理学的な観点から将来世代の視点から対応を考えることの重要性について新たに認識を共有し、その具体的な提案を検討した。

 他方、比放射能濃度の高い長寿命放射性廃棄物について、どこまで高い濃度の廃棄物が、どの程度の深さと規模であれば処分できるのかについて、未だ明確な結論が得られていない。ウランと同様に半減期が長期にわたる核種について、従前の我が国のアプローチでは、人の生活環境から遠ざける努力を続けてきたが、超長期にわたる評価対象期間における様々な要因に関わる不確実性を考慮すれば、将来世代が被ばくを受け得るシナリオを想定したうえで、浅地中処分と比べて処分深度にどのような防護性能を求めるのか、将来それが失われた時に何を求めるのか、といった点についての入念な議論が必要であろう。

 そこで、本専研では、提案者らが前専研でウラン廃棄物について検討してきたアプローチが放射性廃棄物の地層処分の考え方と両立するのか、原状回復型と隔離型という2つの処分の考え方をウラン廃棄物から中・高レベルを含む放射性廃棄物に拡張できるか、超長期にわたるシナリオの不確かさを考慮したうえで発生者がどれだけの責任を担うべきか、又、現在の放射線防護の基本的考え方に照らして将来世代を含む多様な関係者へ提示・提供すべき事柄は何か等について、技術的な側面のみならず、人文・社会科学的な考察を取入れたより幅広い視点からの検討を行い、指針の作成を試みる。

より具体的には、相対的に濃度の高い廃棄物の安全な処分のためにどのような考え方が存在し得るかについて、公開されている刊行物、例えば2021年に刊行されたNUMO包括的技術報告「わが国における安全な地層処分の実現-適切なサイトの選定に向けたセーフティケースの構築-」<https://www.numo.or.jp/technology/technical_report/tr180203.html>等の放射性廃棄物の処分全般に関わる技術的考え方に関する理解を深めつつ、理工学分野と人文・社会科学及びリスクコミュニケーション分野の双方から有識者を集めて集中的な議論を行い、処分やその影響評価の方法に何を求めるのかについて、考え方の整理と今後の方向性の提示に取り組む。得られた成果は、本学会員をはじめとする放射性廃棄物処分の問題に関心のある人々と広く共有し、定期シンポジウム等におけるオープンな情報・意見交換を通して、放射線防護の専門家が避けては通れない対話に基づく問題解決に一つの道を提供するものとする。

 

4.計画の概要

全8回程度の開催を予定

  第1回 キックオフ及び趣旨説明、廃棄物の全体概要と現状

  第2回 必要な説明すべき情報項目、参考資料専門家による招待講演

  第3回 必要な説明すべき情報項目(続き)、委員による応答・課題出し講演

  第4回~第6回 これまでの議論から課題となったトピックを集中討議

  第7回~第8回 報告書案審議

 

5.予定される研究会員

委員(主査) 保田 浩志 氏 広島大学

委員(幹事) 麓  弘道 氏 日本検査株式会社

委員(幹事) 齋藤 龍郎 氏 日本原子力研究開発機構

委員     笠井  篤 氏 元日本原子力研究所

委員     杉山 大輔 氏 電力中央研究所

委員     菅原 慎悦 氏 関西大学

委員     土田 昭司 氏 関西大学

委員     山口 文恵 氏 日本原子力研究開発機構

 

6.設置予定期間

2022年4月~2024年3月

 

以 上

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